2017.06.01
サラリーマン・パート・アルバイトの人が払う税金 ~ 所得税はいくら?part3. 所得税のかからない範囲 ~
パート、アルバイトの方は、ご家族の扶養の範囲内で、あるいは、ご自身が所得税のかからない範囲内で働くという選択をされる方もいらっしゃるでしょう。今回は、パート、アルバイトの方など「給与所得者」の所得税のかからない範囲の収入を考えていきたいと思います。
1.所得税の計算
前回のおさらいです。簡単に、所得税の計算の流れを確認しましょう。
課税される所得 = ①給与所得 - ②所得控除 (収入 - 給与所得控除65万~) (基礎控除38万+基礎控除以外の所得控除) |
所得税額 = ③課税される所得 × 所得税額 |
(参照:サラリーマン・パート・アルバイトの人が払う税金~ 所得税はいくら?part2. 所得税の計算 ~)
所得税の金額は、「課税される所得」に「所得税率」をかけて求めます。
課税される所得が0であれば、所得税もかかりません。その範囲を見ていきます。
2.所得税のかからない範囲
課税される所得が0となる、いくつかのパターンを見ていきます。
所得税の計算は、「①給与所得」「②所得控除」「③課税される所得」を順に確認し、税率をかけていきます。今回は、給与所得控除額を65万円と仮定します。すると、「②所得控除」の額により、所得税のかからない範囲が変わってきます。
2-1. 「②所得控除」が基礎控除のみの場合
以下の式を見てください。
「①給与所得」= 収入 - 65万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円
「③課税される所得」 = (収入 - 65万円) - 38万
= 収入 - 103万円
つまり、収入が103万円以下の場合、所得税がかかりません。いわゆる103万円の壁とは、この所得税がかからない収入金額を指します。働き方を考える際に1つの目安とされる金額ですね。
2-2. 「②所得控除」に基礎控除以外の控除がある場合
基礎控除38万円のほかに、生命保険料控除が3万円あるとします。
「①給与所得」= 収入 - 65万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円 + 生命保険控除3万円 = 41万円
「③課税される所得」 = (収入 - 65万円) - 41万円
= 収入 -106万円
この場合、収入が106万円以下の場合、所得税がかかりません。(ただし、収入が103万円を超えると、扶養控除、配偶者控除の対象からは除外されます。)
所得控除が基礎控除以外にもある方は、その額を103万円にプラスした額が、所得税のかからない範囲となります。
(A)
所得税のかからない収入 = 103万円 + 基礎控除以外の所得控除額 (基礎控除38万円を含む年収) |
2-3. 学生の場合
初めて働いたのは、学生のときだったなんて方も多いのではないでしょうか。または、子どもがアルバイトを始めたという方もいるでしょう。一定の要件を満たす学生の方は、勤労学生控除27万円が適用となります。すると、所得税額の計算は、以下の通りです。
「①所得」= 収入 - 65万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円 + 勤労学生控除 27万円
「③課税される所得」 = (収入 - 65万円)- (38万 + 27万円)
= 収入 - 130万円
つまり、勤労学生に該当する方は、収入が130万円以下であれば、「③課税される所得」が0となり、所得税がかかりません。
上記のAの式に当てはめてみると、分かりやすいですね。
所得税のかからない範囲 =103万円 + 勤労学生控除27万円
=130万円
※ 所得税額が0になる方も、月額88,000円以上もらっている場合、給与からいくらか源泉税が引かれていると思います。その場合は、年末調整や確定申告により還付されますので、必要な手続きを行いましょう。
3.所得税と同時に確認してほしいこと
収入が103万円以下(所得が38万円以下)で働いている方のご両親や配偶者は「扶養控除」や「配偶者控除」を適用できます。また、会社から扶養手当等を支給されている人もいます。一度、ご家族で確認をしてください。そして、働く時間等の調整が必要な方は、会社と相談し、一年を通して上手に調整することが大事になります。
4.おわりに
「所得税のかからない年収=103万円+基礎控除以外の所得控除額」です。
なんでこんなに複雑なの?と思われる方もいるかと思います。
それは、憲法で平等を説いているように、租税法においても「公平性」をうたっています。それにより、それぞれの事情をいろいろと考えていった結果、これほど複雑になっているのです。作る方も、理解する方もちょっと大変ですね。でも、見方を変えれば、働き方も多様化し、選べる時代になってきた、ということでしょうか。自分のライフプランとともに税のことも気にしてみてください。
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