2017.03.24

 サラリーマン、パート、アルバイトなど、会社から給与をもらっている人を「給与所得者」といいます。給与所得者はその収入により、納める所得税、住民税、社会保険料が変わってきます。今回は、給与所得者が納める所得税についてみていきます。part.1では、所得税を計算するために必要な「給与所得」「課税される所得」とは何かをご説明します。

1.「給与所得」とは

 「所得税」とは、「所得」に課される「税」です。
「所得」には、様々ありますが、その中の「給与所得」とは会社から支給される給料、賞与などをさします。

次の式をみてください。

給与所得  = 収入 - 給与所得控除

給与所得は、収入から、必要経費に相当する給与所得控除額を引いたものです。

■ 必要経費に相当する「給与所得控除」

 サラリーマン、パート、アルバイトなどの給与所得者には「給与所得控除」が適用されます。
例えば、個人事業主であれば、事業に必要なものの購入は「必要経費」として収入から差し引くことができます。給与所得者にも会社に持っていく文房具やスーツなど、働くための経費があるはず、という考えのもと、「給与所得控除」が設けられているのです。

以下が、給与所得控除の表です。控除額は収入により決まります。

◇平成29年分 給与所得控除額

給与等の収入金額(年収)給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超  3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超  6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超  10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超2,200,000円(上限)

(出典:国税庁HP http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1410.htm

この表から、最低でも65万円の給与所得控除があることが分かります。
つまり、給与所得は、次の通りです。

給与所得  = 収入 - 給与所得控除(65万円~)

 

 

 2.「課税される所得」とは

 所得税法には「所得控除」というものがあります。1.の給与所得から、「所得控除」を引いたものが、「課税される所得」となります。この「課税される所得」に税率をかけることで所得税が計算されます。

課税される所得  = 給与所得 - 所得控除

■ 所得から引くことのできる「所得控除」
 所得控除には、次のようなものがあります。

雑損控除災害や盗難などで受けた損失に対する控除
医療費控除多額な医療費に対する控除
社会保険料控除公的な社会保険料に対する控除
生命保険料控除、
地震保険料控除
民間の生命保険や医療保険、介護保険、個人年金、地震保険などの各種保険料に対する控除
寄付金控除公的な機関、NPO法人などへの寄付金に対する控除
勤労学生控除働く学生に対する控除
配偶者控除配偶者の所得が38万以下の人に対する控除
扶養控除扶養家族がいる人に対する控除
基礎控除一律に適用される控除 38万

(参考:国税庁HP 所得金額から差し引かれる金額(所得控除)
   https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/shoto320.htm

そのほか、配偶者特別控除、寡婦、寡夫控除、障害者控除、小規模企業共済等掛金控除があります。皆さまもいくつか該当するものがあるのではないでしょうか。
 所得控除には様々ありますが、基礎控除は全員に適用されます。よって、給与所得者の「課税される所得」は次のようになります。

課税される所得  =    ①所得      -      ②所得控除    
          (収入 - 給与所得控除65万~)  (基礎控除38万+基礎控除以外の所得控除)

 

3.まとめ

 「給与所得」は「収入-給与所得控除」、「課税される所得」は「給与所得-所得控除」です。ご自身の給与所得控除がいくらなのか、どのような所得控除が適用されるのか、おおよそ確認できたでしょうか。
 所得控除には様々なものがあります。該当する所得控除がある場合は、会社や税務署に必要な書類、手続きを確認してください。医療費などの領収書、社会保険料などの支払証明書や控除証明書は、一ヶ所にまとめて保管しておくことをお勧めします。
次回は、所得税の計算方法を見ていきます。

無料相談受付中!

お気軽にお問い合わせください

電話でのお問い合わせはこちら
045-751-2734

受付時間 平日 9:00 ~ 17:45

メールでのお問い合わせはこちら

メールで相談する