2017.04.26
サラリーマン・パート・アルバイトの人が払う税金 ~ 所得税はいくら?part2. 所得税の計算 ~
ここでは、サラリーマン・パート・アルバイトなど給与所得者の所得税の計算方法をご説明します。
毎年、年末に受けとる源泉徴収票から年収や負担している所得税を把握している方も多いかと思います。その所得税がどのように計算されているのかご存じでしょうか。ご自身の収入(年収)と対象となる所得控除を確認すると、所得税の計算はそれほど難しくありません。ここでは、前回の記事(part1.)を踏まえ、所得税の金額の求め方をみていきます。
1.所得税の計算に必要な情報
所得税を求めるために必要な情報は以下の通りです。
(A)
③課税される所得 = ①給与所得 - ②所得控除 (収入 - 給与所得控除65万~)(基礎控除38万円 + 基礎控除以外の所得控除) |
(B)◇平成29年分 給与所得控除額
給与等の収入金額(年収) | 給与所得控除額 |
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
1,800,000円超 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
(出典:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1410.htm)
(C)
所得税額 = ③課税される所得 × 所得税率 |
(D)◇所得税の税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(出典:国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm)
まず、Aの式「①給与所得」と「②所得控除」を確認し、「③課税される所得」を求めます。
「①給与所得」は、1年間の収入(年収)から、Bの給与所得控除額を引きます。
「②所得控除」は、基礎控除の38万円とその他に該当する控除の額を合計したものです。
~ 所得税はいくら?part1. 「給与所得」と「課税される所得」 ~)
Aの「③課税される所得」が分かると、次はいよいよ所得税の計算です。CとDをみてください。
「③課税される所得」にDの税率をかけます。
それでは、具体例で確認してみましょう。
2.所得税の計算例
*ここでは復興特別所得税については割愛します。
2-1.年間の収入が400万円で、基礎控除のみの場合
まず、所得税の基本的な計算です。収入が400万円の人の給与所得控除額は、‘ 400万円×20%+54万円=134万円 ’となります。よって、所得税額は、以下の通りです。
「①給与所得」= 400万円 - 134万円 = 266万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円
「③課税される所得」 = 266万円 - 38万円 = 228万円
「所得税額」= 228万円 × 10% - 9.75万円 =13.05万円
2-2.年間の収入が400万円で、生命保険料控除がある場合
仮に、生命保険料控除が3万円であるとします。すると、所得税額は、以下の通りです。
「①給与所得」= 400万円 - 134万円 = 266万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円 + 生命保険料控除額3万円 =41万円
「③課税される所得」 = 266万円 - 41万円 = 225万円
「所得税額」= 225万円 × 10% - 9.75万円 =12.75万円
2-3.年間の収入が120万円で、学生の場合
一定の要件を満たす学生の方は勤労学生控除が適用されます。すると、所得税額は以下の通りです。
「①給与所得」= 120万円 - 65万円 = 55万円
「②所得控除」= 基礎控除38万円 + 勤労学生控除 27万円 = 65万円
「③課税される所得」は、「①給与所得」が 「②所得控除」65万円を下回るため、0円となります。
「③課税される所得」が0円のため、「所得税額」も0円となります。
3.おわりに
所得税を求めるためには、「①給与所得」「②所得控除」「③課税される所得」を順番に確認します。そして、「課税される所得」に税率をかけます。ぜひ、一度ご自身の所得税額を確認してみてください。
次回は、所得税のかからない範囲の収入を見ていきます。
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